J.S.バッハ:無伴奏チェロのための組曲第1番ト長調BWV.1007

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ヴァイオリン:川田知子

第21回目を数える「ながのアスペン音楽祭」は、9月13日午後1時から長野市飯綱高原ホテルアルカディア音楽堂で開催されますが、演奏曲目のうち

J.S.バッハ:無伴奏チェロのための組曲第1番ト長調BWV.1007」をご紹介いたします。

J.S.バッハ(1685-1750)は現在「音楽の父」として非常に名高い大作曲家である。しかし、モーツァルトやベートーヴェンと異なり、バッハは彼の存命中には大作曲家としては認められていなかった。当時彼は鍵盤楽器の演奏家としての評価は得ていたものの、雇い主たちからは、作曲家としてせいぜい二流という扱いを受けていたのだった。そんなバッハが大作曲家として地位を高めることになったのは、バッハ没後の19世紀半ばのことである。メンデルスゾーンの《マタイ受難曲》再演がバッハの歴史的価値を問うセンセーショナルとなり、受難曲やカンタータなど宗教声楽曲を中心として「バッハ・ルネサンス」が起こった。以後バッハは西洋音楽における最も偉大な作曲家として、不動の地位を獲得することになるのである。

とはいえ、器楽作品、とりわけチェロのための作品に関しては、「バッハ・ルネサンス」の時期ですら脚光を浴びることはなかった。《無伴奏チェロのための組曲》の「発掘」は、20世紀の名チェリスト、パブロ・カザルスの存在を抜きに語れない。彼は少年時代、父に連れられてバルセロナの古い楽器店に立ち寄った際、偶然ある一束の楽譜に目を惹かれた。少年はその楽譜を大事に胸に抱えて持ち帰り、練習部屋で楽譜を読み出すとたちまちその魅力のとりこになり、貪るように弾き込んだ。それから12年もの歳月をかけて演奏法や楽曲解釈の研究を重ね、25歳の青年となったカザルスは、ようやくこの作品群を世に解き放った。それが、ほかならぬ《無伴奏チェロのための組曲》である。以降さまざまな演奏法の改良を経ながら、《無伴奏チェロ組曲》はチェリストたちが生涯をかけて取り組むほどの珠玉の作品と目され、チェリストにとっての聖典とさえみなされる作品となった。

バッハの時代には、チェロ(当時はヴィオラ・ダ・ガンバ)は通奏低音など伴奏楽器としての役割を担うに過ぎなかったが、彼はこの楽器を独奏楽器として扱い、その可能性を徹底的に探究している。当時のチェロは、技巧を凝らしたり音色で魅せるにはまだ貧弱といえる楽器であった。その特性を熟知したうえで、バッハは弦の響きを軽やかに聴かせる舞曲を含んだ組曲形式を選び、綿密に構築された実にシンプルな小品群とする方法を選んだ。このシンプルさこそが、チェリストにごまかしの利かない腕前をさらけ出すことを要求し、作品に対峙して、そこにどれほどの思想的な息吹をふき込むことができるかを問うものとなっている。

全6作品からなる《無伴奏チェロ組曲》BWV.1007~1012は、1717~1723年の「ケーテン時代」に作曲されたと言われている。同時期に書かれた《無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ》は姉妹作とされる。全6曲はそれぞれ第1番ト長調、第2番ニ短調、第3番ハ長調、第4番変ホ長調、第5番ハ短調、第6番ニ長調という構成になっており、番号が進むにつれて技巧的な難易度も高くなっている。全作品とも小さな舞曲を組み合わせたバロック組曲の形式をとっている。

今回演奏される第1番ト長調BWV.1007は、全6作品のうちで最も演奏される機会も多く、TVコマーシャルや映画作品などでも頻繁に用いられる人気の高い作品である。第1曲「前奏曲」は最もよく知られるフレーズで、ト長調の単純な分散和音が見事なアラベスク模様を織り上げてゆく。第2曲「アルマンド」はドイツ風の舞曲で、朗々とした旋律が力強く歌われる。第3曲「クーラント」は軽快なフランスの舞曲で、跳躍の多い溌剌とした旋律が特徴的。第4曲「サラバンド」はスペインに起源を持つ荘厳な舞曲で、重音奏法が駆使されながらたっぷりと歌い上げられる。第5曲「メヌエット」はフランスの農村生まれの踊りが宮廷で大ブレイクした典雅な舞曲で、軽快で明るい主題からなる第1メヌエットと、憂いを含んだ主題からなる第2メヌエットから構成されている。第6曲「ジーグ」は民衆の踊りに使われた舞曲で、ノリのよいテンポで軽やかで俊敏に主題が駆けめぐる。(解説:成田麗奈)

アスペン音楽祭」コンサートチケットのお求めは、美鈴楽器・ヒオキ楽器・平安堂・長野MIDORI・ながの東急又はケンインターナショナルfax026-223-2324・090-3142-4820へどうぞ!!

●コンサート券¥2,000(当日¥2,500)●ランチ付コンサート券¥4,000

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このページは、RRICCが2008年8月29日 09:13に書いたブログ記事です。

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